“こころ豊かな暮らし”は自分たちでつくる。薬の町・高取町で、奈良県初の家庭教育支援チームとして活動する、ママグループ「たかまち」。

2018.8.27  高取町

写真・文=福西奈々子(たかまち*高取町ママたちのちから*)

 

おもてなしの町、高取町。

奥大和の入口に位置する高取町は、7,000人ほどの人々が暮らす小さな町です。

薬の町として栄えていたので、今もなお、製薬に関わる企業が多く存在します。最近の薬草ブームに先駆けて、町内で栽培されている薬草「大和当帰」を使ったさまざまな商品が誕生。メディアに取り上げられることも多いため、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

歴史好きの方には、何と言っても「高取城跡」が人気です。「高取城」は「日本三大山城」といわれ、気候のよい日にはハイキングを楽しみに来られる方も多数いらっしゃいます。

城下町として栄えた「土佐街道」では、毎年、住民が中心となってお祭りや催しを企画。時代行列や、大迫力の火縄銃実演が行われる「城まつり」、約100軒ほどある街道沿いの家屋でひな人形を展示する「町屋の雛めぐり」は多くの人で賑わいます。そういった人たちを町全体で温かくお迎えする、おもてなしの心を持った人たちが多い町だと感じています。

 

そんな高取町で2016年4月、地元のママたちと集まって、あるグループをスタートさせました。その名も「たかまち*高取町ママたちのちから*」です。「たかまち」という名前は、「高取町ママたちのちから」を文字って名付けました。

たかまちのロゴマーク。老若男女に覚えてもらえるよう、ひらがな表記にこだわりました。

 

これから3話に渡って、私たちの活動を軸に、高取町の魅力をお伝えしていきたいと思っています。お付き合いいただければうれしいです。

 

たかまちの活動とは?

たかまちは、主に「企画室」と「運営室」に分かれ、連携しながら活動しています。

「企画室」には私を含む3名のメンバーが在籍しており、活動内容や詳細を決定する役割を担っています。ママだけに時間も限られていますので、月に1度ペースの子連れミーティングやSNSのやりとりで、話し合いを進めています。

「運営室」には、私たちの活動をサポートしてくださっている同町の方々やメンバーの夫たち、その他一緒にイベントを盛り上げてくださる方々が在籍しています。


たかまちメンバーと初イベントを盛り上げてくださったみなさん。

活動内容は「情報発信」「教育」「つながり」「福祉」という4つにカテゴリー分けをして、そこに沿うように、「勉強会」と「マルシェ」を開催してきました。

ママたちの悩みは、育児、家事、仕事との両立、自分のことなど、実に様々です。ママ友との会話の中で解決した様に思えることも、なんだかシコリが残っていたり、また新たに小さな悩みが加わったりすることでどんどん蓄積されて、ストレスに変わってしまうのです。

 

「私たちのこんな悩みを研究している人っているのかな?」

「勉強会してほしいな!」

 

そんなちょっとした疑問や要望が、子育て真っ只中のママたちに向けた勉強会「暮らしのレッスン」開催のきっかけとなりました。

「暮らしのレッスン」風景。定員15名の小さな勉強会です。

初年度は、時短簡単料理やお掃除、お片づけ、子どものお金教育、ダイエットなどにスポットを当てて実施。2年目には年間6回開催し、毎回満席御礼の人気講座へと発展していきました。

また、「暮らしのレッスン」を開くうちに「子連れで参加できる楽しそうなイベントを企画したい」という思いも生まれてきました。イメージは、各地で流行っていたオシャレなお店が立ち並ぶ“マルシェ”といわれるもの。子連れイベントと言いながらも、母親として日々ストレスを感じている自分たちが癒される場所を求めていたのかもしれません。

企画を経て、2017年5月、「お寺deマルシェin光雲寺」を開催。約400名の来場者に恵まれました。

これらの活動が「奈良県教育研究所」の目にとまり、2017年末には、奈良県で第一号となる「家庭教育支援チーム」として文部科学省から認定していただくことができました。

自治体だけでは行き届かない部分をケアできる団体を認定する制度。
2018年7月現在、奈良県内でも6チームの登録があります。

2018年3月に行った「ひなめぐりdeマルシェ」では、地元の方々が育ててこられた雛めぐりイベントの力もお借りして、3,000名近くの方にご来場いただくことができました。

 

私たちにできること、そして新たなステップへ。

そもそも、私たちは「町のために立ち上がったグループ」ではありません。

みんな、どこかで子育てや家事、仕事に追われる日々から救われたかったのです。結婚して子どもを授かり、選んだこの地で心豊かに暮らしたいと願う中で、「私たちにしかできない、私たちがやりたいことって何だろう?」という問いからスタートし、母親として、妻としての時間の合間で楽しんで活動してきました。

でも、活動の広がりに比例するように、町内の方々の支援や協力をいただくことも増えていきました。そこで、明るい町づくりにも貢献できればと始めたことがあります。それが「大和当帰香るワークショップ」です。

このワークショップでは大和当帰だけでなく、町内で手に入るさまざまな薬草などからエキスを抽出し、化粧水やクリーム、フレグランススプレーづくりなどを実施。町のイベント出店はもちろん、近隣市町村のイベントで出店することもあります。小さな機会ですが、高取町の魅力を知って、町を訪れる人たちが増えたらと思って取り組んでいます。

2018年4月で「たかまち」は結成3年目を迎えました。メンバーはそれぞれ自分たちの思いをカタチにできる自信が芽生え、グループとしても一歩一歩成長を遂げていると感じています。

そこで、また少し角度を変えた挑戦をすることにしました。

「地域でまなぶ 地域にふれる 地域とつながる」をテーマに、企業、店舗、町内の諸団体とのつながりをつくり、お互いの活動支援や情報共有をしながら、自治体では行き届かない部分のケアを可能にする「garden(ガーデン)」というコミュニティづくりに取り組みます。

ロゴマークは、「たかまち」メンバーの子どもたちに書いてもらいました。地域と地域、人と人が手をつないで輪(ガーデン)ができますようにという意味を込めました。現在は、地域で活動したいグループ、銀行や工務店などの企業が企画するイベントのコーディネートから、チラシの作成、SNSでの情報発信、集客のフォローなどを担当しています。

次回は、なぜ「たかまち」を結成しようと思ったのか。なぜ、過ごしやすい場所を“見つける”のではなく“つくる”ことを選んだのか。たかまち結成の背景やきっかけについて、私がこの地で暮らして感じてきたことを踏まえて、ご紹介できたらと思っています。

text 福西 奈々子 (たかまち)